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大胆でエロティックな下半身の誕生

パンタルーン、膝下まで覆う長ズボンとしては画期的であったが、ではそれで脚線強調効果が失われたかといえば、実は全然そうではないのである。ふくらはぎの詰めものが相変わらず行われていた。そればかりではない。このぴったりパンツ、しかも淡い色であるから、コードピース以来ひっそりしていた男性性器強調効果までも復活させることになったのである。この時代にはすでにコートの前裾は乗馬のために切り取られており、しかもヴェストもウェストまでの短い丈になっているので、パンタルーンの前面を覆うものは何もない。つまり、ブリーチズ時代は、膝下の脚線(とりわけふくらはぎ)に主に力点が置かれていたのだが、パンタルーンの出現によって、腰から足首までのトータルな脚線美が考慮されるようになったばかりでなく、性器強調効果まで加わったわけである。大胆でエロティックな下半身の誕生である。

自分で雑誌や本を調べて知識をつけていく

考えてみれば、自分の服装に不安があっても、ファッション誌の情報は普通の人にはちょっとオシャレすぎてあまり参考にならない場合も多いですし、お店の販売員も、本当にお客様に似合ったものを薦めてくれるかどうかわかりません(他の商売同様、残念なことに、売ることだけを考えているお店があるのも事実です)。残念ながら洋装文化の歴史が浅い日本では、一般の生活の中ではスーツの基本的な知識を学ぶ機会がありません。就職して必要だからとスーツを着始め、基本的な着こなしの知識を知らないまま旬‐内生活を過ごしていることが多いように思います。オシャレに興味があれば、自分で雑誌や本を調べて知識をつけていく機会もありますが、ファッション雑誌を読まないビジネスマンの多くが自分の服装について何らかの不安を持つのも無理のないことだと思います。パーソナルスタイリングは、そういった方々の不安を解消するのに大変役立つものですが、私が直接スタイリングを担当できる方の数には限界があります。

謹厳な印象を与える黒いプロッタ・コート

謹厳な印象を与える黒いプロッタ・コートは、スマイルズ的ヴィクトリアンージェントルマンの理念とも相性がよかった。さらに、汚れが目立ちにくい黒は、倹約の精神にもぴたりとかなった。フロック・コートを生涯一度も洗濯しないなど、ごくあたりまえのことだったのである。洗濯代が高かったということもあるが、そもそもウールのテイラード・コートは仕立てがよければよいほど、洗濯の数だけ寿命が縮むものらしい。これは現代でも同じで、隆之助師匠などは「スーツのクリーニングは三度が限界」と言い切るくらいである。しかし、スーツは洗わないとしても、シャツは洗わないわけにはいかない。というよりむしろ、スーツを洗わないからこそ、シャツの清潔さがいっそう求められるようになったというべきか。一見、誰もが同じようなスーツに身を包んでいることもあり、シャツの襟とカフスの清潔度こそが男の経済状態のもっともわかりやすい指標となっていく。オフィスーワークをする人口が増えるにつれて、既製シャツの需要が高まってきていた。